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design and furniture設計・家具へのこだわり

「HOTEL BRILLER」は、京都らしさを醸し出しながら現代的なスタイリッシュさも同居させた京風モダンなデザインを基調としています。
また、お越しになられたお客様の心が自然とやすらぎ、くつろいだ気持ちになっていただけるよう、館内全体を落ち着きのある色合いで統一しています。

design selection空間と調和する家具・調度品をセレクト。

「HOTEL BRILLER」で使われている家具・調度品はすべて、京都でアンティーク家具などを扱う専門店「ウェリントン」によるセレクト。
空間全体の雰囲気に調和する家具を厳選し、コーディネートしています。

interviewインタビュー

有限会社ターボ設計
山領真都

一級建築士事務所「ターボ設計」の取締役。京都を中心に、ホテルに限らず、住宅からオフィス、工場、さらに、美容室やカフェなどの建築デザイン設計まで、幅広く手がける。

ターボ設計 公式サイト

有限会社ウェリントン
瀬戸直人

ヨーロッパのアンティーク家具や照明なども取り扱う専門店「ウェリントン」の代表取締役。店舗内と倉庫に自社工房を併設し、クラフトマンによるさまざまな加工や修復も請け負う。

ウェリントン 公式サイト

歴史ある京都に、若い感性で描かれる
新しいホテルプロジェクト。

このプロジェクトに関わるきっかけは。

もともと施主様とは面識がありましたが、施主様には設計事務所のお知り合いがたくさんおられるので私もその中の一人。ただ、今回はその中でも年齢的に若い私に声をかけていただきました。若い感性でこのホテルをつくっていきたいという思いがあったようですね。

山領さんとは以前から知り合いでした。施主様とは以前、別の案件で家具コーディネートを担当させていただいたこともあり今回のプロジェクトが進む中で私の名前が挙がったようで、担当させていただくことになった次第です。 私どもはホテルの家具が専門というより、ヨーロッパのアンティークの家具などをメインで扱っている会社なのですが、自社に工房を構えており職人も抱えていますので、カウンターや建具の造作などもできます。私に声が掛かったのはそのあたりのこともあったのだと思います。

互いにイメージを共有し、
意見を掛け合わせひとつの正解を目指す。

プロジェクトはどのように進めていったのか?

プロジェクトのスタートが1で竣工を10とすると、瀬戸さんが加わったのは4か5ぐらいの段階だったと思います。設計プランが決まり、客室のプランが決まって、全体のデザインもある程度決まった段階ですね。そこから瀬戸さんにも、施主様との打ち合わせに参加していただきました

私に話が来た段階で全体のコンセプトも決まっており、リアルな3Dパースもつくっていただいていたので、どういうホテルをつくろうとしているのか、目指しているイメージの共有はしやすかったですね。

そのころには「和+モダン」というコンセプトは固まっていて、瀬戸さんのほうから木(モク)の家具を提案していただきました。そこで私のほうは、それらの家具に合うよう壁のクロスを選ぶというふうに、互いにイメージのすり合わせをしつつ、作業を進めていきました。 このころから、施主様を交えての打ち合わせではなく、二人の間でやり取りを重ねて詰めたものを施主様に提案するという流れに変わっていきましたね。 あとは、施主様とイメージを共有するため、今までで一番CGパースを描きました。さらに今回は、VRのデータもつくり、実際にホテル内を移動するように見ながら完成形を確認できるようにもしました。

山領さんがつくったVRのおかげで、ずいぶん提案がしやすかったですね。例えばソファを選ぶにしても、施主様からすればソファの写真だけを見せられても判断できないじゃないですか。そのソファが実際のホテル内の空間に置かれ、入口から入ってきたときにどう見えるかまで確認できてはじめてジャッジできる。そういう意味でこのVRは本当に役立ちました。つくるのは大変だったろうと思いますけど(笑)。

互和とスタイリッシュの絶妙なバランス、
そして使い心地の追求。

今回特にこだわった点は。

コンセプトに合ったデザインで、ホテルがより素敵に見えるように家具を選ぶのはもちろんですが、特に気をつけたのは“使い勝手”の部分です。家具は実際に長く使っていただくものなので、見た目の良さだけでなく使いやすさを重視しましたし、デスクの横に冷蔵庫が置かれるならその配置も考えてデスクやイスを選ばなければいけないので、そのあたりも考慮しながらベストだと思えるものを提案させていただきました。 また、もうひとつこだわりで言うと、このホテルの受付カウンターは、全体のコンセプトに合わせてまったくゼロの状態から弊社の工房でつくらせていただきました。 受付前にある荷物台もそうです。さまざまなホテルに見学に行ったり、実際にビジネスバッグや旅行鞄を置いたりしながら、大きさや高さを検証してつくっているんですよ。

京都のホテルということで、最初から「和」というテーマはあったんです。でも普通の「和」にはしたくないという思いがあり、そこに現代的な感覚を取り入れた「和+スタイリッシュ」なデザインを提案させていただきました。 例えば外観に施した格子のあしらいも、一本一本色も太さも異なる木片をランダムに組み合わせてデザインしています。そうすることで普通の格子とは違うモダンな印象になっていると思います。 また、入口から受付に続く通路も、壁面に照明を入れたスタイリッシュなデザインにしていますが、この照明もそのものずばりではなく、お客様が通るときになんとなく竹林をイメージしてもらえるような、さりげない印象が残るテイストで仕上げさせていただきました。 場所が京都なので周辺にも格子や竹をあしらった建物は数多くありますが、それらとの違いを感じてもらえればうれしいですね。

おもてなしの心を形に、
妥協のないお客様ファーストの空間づくり。

施主からのオーダーで印象に残っていることは。

あまり細かな要望を出されることもなく、基本的にはお任せしてくださいましたが、ホテルの顔となるエントランスは、わざわざお越しいただいたお客様を最初にお迎えする大切な場所なので、特に力を入れてつくってほしいというオーダーをいただきました。そこで、入口の扉には糸屋格子をあしらい、おもてなしのはじまりが感じられる京町家風のデザインにしました。また、通路までの両サイドには植栽を配し、壁には一枚一枚窯で焼いた陶器のサイディングを施しています。 植栽の後ろに隠れているのでじっくり見る方はいないと思いますが、色合いも光り方も全部違って、独特の風合いを醸しているんですよ。

私も基本的にはお任せいただいていたので、このご要望が特に・・・というものはないのですが、お打ち合わせの中で、施主様がルームナンバーのプレートに使う書体にまでこだわっているのを見て、こちらも細部まで妥協することなく良い提案をしようと改めて気を引き締めたのを覚えています。 信頼して任せてくれているからこそ、下手なものはつくれない。細かな部分にまで注意しながら、全体のコンセプトからずれないよう、完成形を見据えてディレクションしていく。そんな意識で作業を進めていきました。これは山領さんも同じ思いだったと思います。